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Stargazer - 2 -
「プリス。港に行こう」
「港……ですか?」
ネルヴィル・アストロレースなんて見てる場合じゃない。
コートを着ると、強引に黒天使の手を取って外に出かける。
かつてのリルバーン帝国には16個の宇宙艦隊が存在しヴァレフォールの五つの星団に派遣していたとか。そして異星人たちを天空の高みから支配していたという。
「もっとも、今は見る影も無いがね」
「はい?」
独り言に律儀に返すプリス。可愛い奴だ。なでなでしてやろう。
さてその栄光の16個艦隊は、全滅したか退役したか修理中だかで一個艦隊も存在しない。
そんな関係で、リルタニアの宇宙港の規模は星団一だ。軍用だったため利便性に欠けるだとか、老朽化が進んでいるとか、そういう問題はおいといて。
いくつかの手続きを経て、ポートのガレージの扉が開いた。だだっ広い空間に一隻の船が見える。
ここから先は重力制御が働いていない。数百メートル向こうの船めがけて、俺はテラスから飛び降りた。
「…S t a r g a z e r 」
天使らしく黒い翼をはためかせてついてきたプリスが、船にペイントされた文字を見て呟く。
「俺の船さ」
「御主人様は一体なんなんでしょう?」
「海賊に決まってるじゃないか」
「……」
やれやれだぜ。
この船そのものは帝国のガイルボーン級艦の改造だ。所謂フリゲート。
「船に乗った事はあるかい?」
「……難民船なら。倉庫で丸まってたくらいしか」
それはそれは。そんなお嬢さん然としていられちゃ解らないってば。
「とりあえず、その辺の席に座ってててくればいいよ」
俺は制御コンピュータに発進準備を指示すると、管制に出港灯を出させる。
スターゲイザーは定員15人の船だ。正常に運行するのは最低でも5人は必要なのだが、今回は面倒な事はコンピュータに任せる。いのらと戦う訳でも無し。
「S t a r g a z e r発進準備よろし、発進を許可されたし」
『発進を許可する。よい旅を』
「港……ですか?」
ネルヴィル・アストロレースなんて見てる場合じゃない。
コートを着ると、強引に黒天使の手を取って外に出かける。
かつてのリルバーン帝国には16個の宇宙艦隊が存在しヴァレフォールの五つの星団に派遣していたとか。そして異星人たちを天空の高みから支配していたという。
「もっとも、今は見る影も無いがね」
「はい?」
独り言に律儀に返すプリス。可愛い奴だ。なでなでしてやろう。
さてその栄光の16個艦隊は、全滅したか退役したか修理中だかで一個艦隊も存在しない。
そんな関係で、リルタニアの宇宙港の規模は星団一だ。軍用だったため利便性に欠けるだとか、老朽化が進んでいるとか、そういう問題はおいといて。
いくつかの手続きを経て、ポートのガレージの扉が開いた。だだっ広い空間に一隻の船が見える。
ここから先は重力制御が働いていない。数百メートル向こうの船めがけて、俺はテラスから飛び降りた。
「…S t a r g a z e r 」
天使らしく黒い翼をはためかせてついてきたプリスが、船にペイントされた文字を見て呟く。
「俺の船さ」
「御主人様は一体なんなんでしょう?」
「海賊に決まってるじゃないか」
「……」
やれやれだぜ。
この船そのものは帝国のガイルボーン級艦の改造だ。所謂フリゲート。
「船に乗った事はあるかい?」
「……難民船なら。倉庫で丸まってたくらいしか」
それはそれは。そんなお嬢さん然としていられちゃ解らないってば。
「とりあえず、その辺の席に座ってててくればいいよ」
俺は制御コンピュータに発進準備を指示すると、管制に出港灯を出させる。
スターゲイザーは定員15人の船だ。正常に運行するのは最低でも5人は必要なのだが、今回は面倒な事はコンピュータに任せる。いのらと戦う訳でも無し。
「S t a r g a z e r発進準備よろし、発進を許可されたし」
『発進を許可する。よい旅を』
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Stargazer - 1 -
ディルタニア恒星系、リルバーン帝国の主星クリストス。
ここはその衛星軌道上に作られたオービタルリングの一角。
それにしても暇だ。前回の仕事から一ヶ月。何も生産的な活動をしていない。
クリスタル・ガラスの向こうには無数の星々が煌めいている。煌めいているがいつも同じだ。もう飽きた。ラジオは今日も代わり映えのしないニュースを垂れ流している。
「星を見ておいでですか」
背後から声をかけられて俺は我に帰った。
「プリスか……ああ、星はいい」
いや、ただぼけっとしてただけなんだけどな。
プリスフォーリアは優美な黒い翼を生やした、天使種族の少女だ。無精な俺の助手兼家政婦をして貰っている(レーヴァテインの犬耳メイドという選択肢も最後まで残っていたのだが)。薄給で甲斐甲斐しく働く可愛い奴だ。
「お電話です。ミャノコフ大統領様から」
手には専用回線の受話器を持っていた。やれやれ、どうやら休暇は終わりらしい。
「––私だ、ベルトリッチ君。久しいな」
「いえ、一ヶ月前に話しましたよ」
が、大統領は無視した。この犬耳大統領め。
「また君に仕事を頼みたいのだがね?」
「今度は殺しですか、盗みですか、密輸ですか。ええ、なんでもやりますよ」
ぎょっとするプリス。
「今回は人探しだよ。平和的だろう? 今データを送ろう」
「ほほう、人探しですか、これはこれは平和的ですね」
3Dプロジェクタに表示された人物の姿は俺も見た事があった。プリスとどっこいどっこいの年格好の少女。ただし白衣。
「まだ見つからないんですかね、カザン博士は」
星団各地に出現する謎の生命体"いのら"。その謎の鍵を握っていると思われる人物だ。
「博士と同じエステルプラッテ人である君には期待しているよ。なにしろニモーディアへの2回の艦隊派遣で、我が国の半年分の予算が飛んだのだ」
「しかしカンナギは怪獣との戦闘で戒厳令が敷かれているし、入国も面倒でしょう」
「我が国艦隊がカンナギに派遣することが決定された。それにまぎれて正面から堂々と入国するがいい」
「……なんだ、もう決まっているのかい。大統領」
やれやれだぜ。
ここはその衛星軌道上に作られたオービタルリングの一角。
それにしても暇だ。前回の仕事から一ヶ月。何も生産的な活動をしていない。
クリスタル・ガラスの向こうには無数の星々が煌めいている。煌めいているがいつも同じだ。もう飽きた。ラジオは今日も代わり映えのしないニュースを垂れ流している。
「星を見ておいでですか」
背後から声をかけられて俺は我に帰った。
「プリスか……ああ、星はいい」
いや、ただぼけっとしてただけなんだけどな。
プリスフォーリアは優美な黒い翼を生やした、天使種族の少女だ。無精な俺の助手兼家政婦をして貰っている(レーヴァテインの犬耳メイドという選択肢も最後まで残っていたのだが)。薄給で甲斐甲斐しく働く可愛い奴だ。
「お電話です。ミャノコフ大統領様から」
手には専用回線の受話器を持っていた。やれやれ、どうやら休暇は終わりらしい。
「––私だ、ベルトリッチ君。久しいな」
「いえ、一ヶ月前に話しましたよ」
が、大統領は無視した。この犬耳大統領め。
「また君に仕事を頼みたいのだがね?」
「今度は殺しですか、盗みですか、密輸ですか。ええ、なんでもやりますよ」
ぎょっとするプリス。
「今回は人探しだよ。平和的だろう? 今データを送ろう」
「ほほう、人探しですか、これはこれは平和的ですね」
3Dプロジェクタに表示された人物の姿は俺も見た事があった。プリスとどっこいどっこいの年格好の少女。ただし白衣。
「まだ見つからないんですかね、カザン博士は」
星団各地に出現する謎の生命体"いのら"。その謎の鍵を握っていると思われる人物だ。
「博士と同じエステルプラッテ人である君には期待しているよ。なにしろニモーディアへの2回の艦隊派遣で、我が国の半年分の予算が飛んだのだ」
「しかしカンナギは怪獣との戦闘で戒厳令が敷かれているし、入国も面倒でしょう」
「我が国艦隊がカンナギに派遣することが決定された。それにまぎれて正面から堂々と入国するがいい」
「……なんだ、もう決まっているのかい。大統領」
やれやれだぜ。
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